今回は、SHOWROOM社長・前田裕二さんの著書「メモの魔力」の感想・レビュー・書評です。
「メモの魔力」といえば、発行部数44万部を突破し(2019年12月現在)、ビジネス書年間ランキング1位を獲得したことで話題を集めているベストセラーですね。
著者の前田裕二さんは、毎日膨大な量を記録する「メモ魔」として知られており、本書では前田式メモの具体的な方法や効果について書かれています。
- 「メモの魔力」の感想・書評
- 「メモの魔力」の概要
- 前田式メモ術をやってみてわかったこと
実際に私も、本書に書かれている内容を実践してみましたが、メモといっても単なる情報のストックではありません。
前田式メモ術を通して、目の前の情報を噛み砕いて思考し、自分の性格や生き方についても深堀りするようになりました。
本記事では、私が「メモの魔力」で得たことを中心に感想を述べていきたいと思います。

それでは早速みていきましょう!
「メモの魔力」の感想と書評

「メモの魔力」の率直な感想は以下の2点です。
- メモは思考を生み出す最強のツール
- 最終的に自分を知ることにつながる一冊
メモは思考を生み出す最強のツール
メモというと、「忘れないために記録しておくもの」とイメージする人がほとんどではないでしょうか。
私も本書を読むまではそう思っていましたし、自分がメモする目的も「忘れたくない情報を残しておくため」でした。
しかし、「メモの魔力」を読んでその固定観念は一掃されました。
なぜなら、前田式メモは単に情報をストックするためのメモではなく、そこを起点に新たな気づきを得て、具体的な行動に落とし込んでいるからです。
メモをメモで終わらせるのではなく、なぜその事象が起きたのか、そこからわかることは何か、と思考を発展させていく
上記の作業によって日常的に思考を巡らせ、アイディアを生み出していくということですね。
ちなみに前田さんのSHOWROOMという会社も、メモから生まれたビジネスであり、幼少期にギターで弾き語りをしていた原体験がベースになっているようです。
最終的に自分を知ることにつながる一冊
本書の後半は、「メモを通して自分を知る」という内容になっています。
いくら前田式メモを学んでも、人生において自分が何をしたいのかが明確でないと、メリットは得られません。
驚くのは、前半で説明されたメモの方法がそのまま自己分析にも使えてしまう点です。
例えば映画でも本でも、自分が好きな作品をピックアップし「なぜ好きなのか」を深堀りしていくと、自分の信念や価値観に辿り着きます。
抽出された自分の軸を元に、最終的に「じゃあそれをベースに具体的に何をする?」というところまで考え抜くと、「生き方」が見えてきます。

単なるビジネス書ではなく、自分の価値観やあり方を問いただされる本ですね。
詳細は次項で述べますが、前田式メモ術とはつまるところ、「自分らしく生きるための手段」であると感じました。
「メモの魔力」を読むとこんなことがわかる

「メモの魔力」の概要を簡単に説明します。
以下を読むと、本書がただのノウハウ本ではないことがわかるかと思います。
前田式メモによって身につくスキル
まず、前田式メモによって得られるメリットについてです。
ここでは5つのスキルが紹介されています。
- アイディアを生み出せるようになる
- 情報を「素通り」しなくなる
- 相手の「より深い話」を聞き出せる
- 話の骨組みがわかるようになる
- 曖昧な感覚や概念を言葉にできるようになる
個人的には、上の2つは特に大事だと思います。
1つめは、単純に「記録」としてのメモではなく、「知的生産」のためにメモを活用するということです。
前田さんは、メモを「外付けハードディスク」に例えていますが、事実を思い出すことに脳を使うのではなく、創造性を発揮するために使おう、ということですね。
2つめの「情報を素通りしなくなる」についてですが、私たちは日々膨大な量の情報を浴びている一方で、実際にキャッチできるている情報はごくわずか。
メモをとることを意識すると、有用な情報にアンテナを張るようになり、無意識にスルーしてしまうことがなくなります。

前田式メモには、想像している以上に多くのメリットがあります。
「ファクト→抽象化→転用」でアイディアを生む
前田式メモでは「ファクト→抽象化→転用」という流れでノートに書きこんでいきます。
- ファクト:客観的な事実、起きた出来事(一般的なメモ)
- 抽象化:ファクトから得られた気付き
- 転用:抽象化した事象を自分の行動に応用する

ファクトはいいとして、「抽象化」「転用」がピンとこない。どういうこと?
抽象化とは、
- ファクトから何か言えることはないか?
- 他に応用可能な法則はないか?
と思考を巡らせることであり、客観的な事実から他の事象に応用可能な気づきを得ることです。
前田さんの幼少期の弾き語りの経験を例にすると、以下のようになります。
- ファクト
- カバー曲を歌うと、オリジナル曲のときよりも立ち止まってもらえる
- 立ち止まってもらった人のリクエストに応えると、ぐっと仲良くなる
- 仲良くなったあとにオリジナル曲を歌うと、もっとお金がもらえる
- 抽象化
- 仲良くなるには、双方向性が大事
- 人は「うまい歌」ではなく、「絆」にお金を払う
要は、「ファクトを通して考えられること」ですね。
続いて「転用」とは、抽象化して得られた気付きを自分の具体的な行動に応用することです。
先程の例でいえば、以下のように前田さん自身のアクションに落とし込んでいく作業になります。
- 転用
- 双方向性があり、絆が生まれる仕組みをネット上に作る
ちなみにこのメモをきっかけに誕生したのが、SHOWROOMというビジネスです。
このように、「ファクト→抽象化→転用」 のフレームワークを使えば、日常のメモがアイディアの宝庫となります。

メモというよりも思考のトレーニングという方が近いかもしれませんね。
またこのフレームワークの対象を「自己」に向けると、簡単に自己分析ができます。
興味のある方は是非本書を読んでみてください。
他の著名人たちもこの方法を実践している
「ファクト→抽象化→転用」を使った思考法については、他の著名人もその重要性について発言しています。
例えばキングコングの西野亮廣さんは、Voicyで「抽象化の精度を上げろ」という話をしています。
また山口周さんの著書「読書を仕事につなげる技術」でも、抽象化と転用を使った読書法について詳しく書かれています。

※「読書を仕事につなげる技術」は、 Kindle Unlimitedに新規登録すると無料で読めます。

学びの本質は、抽象化と転用にあるってことですね。
前田式メモ術を実際にやってみた【レビュー】

私も「メモの魔力」を読んでから、日々の出来事、映画や本を通して自分の琴線に触れるものがあればメモを書くようにしています。
前田式メモ術
まずは、私の生活の一部であるブログについて考えてみました。
「2019年3月にブログを始め、9カ月間継続している」というファクトを元に抽象化、転用の要素を洗い出します。
- ファクト
- 2019年3月にブログを始めた
- 現在9カ月間継続している
- 抽象化
- ブログを始めた背景には「老後、お金に困りたくない」という思いがある
- 9か月も継続できているのは、一人でコツコツ作業すること、文章を書くことが性に合っているからだと思う
- 転用
- 70歳時点での目標貯蓄額を考え、そこから逆算してブログでの目標収入額を割り出す
- ブログで培ったスキルを活かして、夫の仕事の事務作業(HP運営や経理)を手伝えるかも
自分が当たり前のようにしていることでも、文章にしてみると自分自身を深堀りするきっかけになったり、別のアクションにつなげられたりします。
また、本を読んでためになったと感じた部分をメモし、同じように抽象化、転用の要素まで思考を巡らせると、読書の価値が格段に上がると感じました。
ライフチャート
もう一つ、「メモの魔力」で紹介されているのがライフチャートで自分を知るというものです。
横軸を年齢、縦軸を感情に設定し、人生の幸福度を曲線で表します。
本書にも書いてありますが、ここでのポイントは「変曲点」です。
なぜ上がったのか?なぜ下がったのか?自分の感情を動かす要因が発見できれば、「生きる意味」や「人生の価値」につながります。
私の場合は、下図のようになりました。

曲線が右肩上がりになっているフェーズは、「大学受験」と資格取得のために猛勉強した「社会人3~6年目」あたりです。
このチャートから、自分の性格について以下のように考えました。
- 抽象化
- 一つの目標に向かって努力しているときに充実感を感じる
- 特に、合格/不合格のように、結果が明確であるほど熱が入るタイプ
- 転用
- 日常でも常に知識やスキルを習得することを意識する
- 目標は具体的な数字を設定するなどして明確化する
ライフチャートは自己分析のためのツールですが、ここでも「ファクト→抽象化→転用」のフレームワークをそのまま使うことができます。
紙とペンさえあればすぐにできるのでオススメです。
まとめ:「メモの魔力」で自分を深堀りしよう

一つでも当てはまる項目があれば、本書が役に立つと思います。
「メモの魔力」はビジネス書という枠組みになっていますが、最終的には自分自身を知ることにつながるので、ビジネスマン以外の人でも価値を見出すことができるでしょう。

ちなみに私も普通の主婦です。
興味のある方は、是非読んでみてくださいね。
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